地域活動AtoZ

2020年6月掲載

volume 3ホームページのアクセス改善に役立つウェブ解析

ホームページを運営するなら誰もが、より多くの人に見て欲しい、と願うことでしょう。
どんな閲覧者が、どのページを、どのくらいの時間読んでいるのだろう。その情報は役立ったのだろうか。興味を持ってくれただろうか。 そんなホームページ運営者の気になることを、数字で示してくれるのがウェブ解析ツールです。

ウェブ解析データは、反省会の基本資料です

新しい記事を掲載したら、早ければ数時間、遅くとも数日もすればその記事に閲覧者がどう反応したか(または反応していないか)が数字で表れます。ウェブ解析データは、運営者やコンテンツ制作者の感情に左右されない客観的な効果測定資料でもあり、今後の運営改善に役立てることができます。

もちろんウェブ解析データだけでなく、お問合せ件数、直接的な閲覧者のヒアリングも重要であることはいうまでもありません。


見本として「すぎなみ地域コム」のアクセスをみてみましょう。このグラフはリニューアル公開した 2020 年 2 月 1 日を中心に前後 10 日間を表示しています。大きな動きがあった期間のためアクセスの状況が手に取るようにわかります。

ウェブ解析の王道 Google Analytics

ウェブサイトを解析するには、専用のサービスを利用する必要があります。1990 年代には、サーバー独自の無料サービス、有料の高機能ソフト、CMS のプラグインなど多くの解析サービスがありましたが、現在は Google 社が提供する Google Analytics(以下本文中 GA)の利用が一般的です。非営利組織は無料で利用できますが、利用に先立って以下の三点を準備する必要があります。

  • Google アカウント(Google のいずれかのアプリを開きログイン関連のコマンドから取得します。)
  • 解析したいウェブサイトの URL
  • 解析したいウエブサイトのサイトポリシー等のページに GA を利用している旨の掲載

※参考:Google 社の参考文: https://support.google.com/analytics/answer/6004245?hl=ja

上記の用意ができたら、Google Analytics に Google アカウントでログインし、利用規約など確認のうえトラッキングコード(U で始まる数字列)を取得し解析したいサイト内に設定します。数多くのサイトでこの手順を紹介しています。

※すぎなみ地域コムの団体個別サイトで採用している WordPress などの CMS では、SEO 用プラグイン(All in onese pack 等)で、このトラッキングコードを入力するだけで設置が完了するものもありますが、確認できる結果は異なります。また、一つの Google アカウントで複数サイトの解析結果を見ることができます。

・Google アナリティクス: https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/


Google Analytics の基本

GA は、さまざまな視点で解析結果を見ることができますが、はじめに基本画面を確認しましょう。GA にログインすると下記の画面が表示され現在のアクセス状況が、ほぼリアルタイムで確認できます。 おもなメニューは画面左側に並んでいます。

ユーザー: アクセスしたユーザーの地域、使用している端末の状況などを確認できます。
集客: ユーザーが、どのようにアクセスしてきたか経由したサイトなどを確認できます。
行動: ユーザーが、サイト内のどのページを閲覧したかランキングで確認できます。
コンバージョン: サイトの運営目標項目と数値を設定し、後日その結果を確認できます。
管理: 新しく解析するサイトの登録や、解析結果を閲覧するスタッフの登録などができます。

解析項目では、別な項目と掛け合わせて結果を表示させる、気になる項目を掘り下げていくこともできます。上記は、アクセス元の地域と平均セッション時間(アクセス時間のようなもの)をクロス検索した解析結果です。ただし個人情報保護のため、すべてを確認できるわけではありません。


解析結果の何を見るべきか

GA のどの項目をどう把握してどう今後に生かしていくかは、サイトによって異なります。ページが本当に読まれているのか気になるなら、アクセスされたページ数はもちろんですが、内容に見合った滞在時間を確保できているのかを気にしなくてはいけません。また一人でも多くの人に知って欲しい情報なら、ページビューよりは、アクセスしてきたユーザー数に注目すべきでしょう。 いくつかの例をあげてみましょう。

  • 親子向けサイトなので、アクセスしてきたユーザーの性別や世代が知りたい

    ユーザー/ユーザー属性/年齢・性別 でユーザーを推察することができるでしょう。
    ※すべてのユーザーが解析されていないケースがあります。

  • 地元の人限定なので、どの地域からアクセスしてきたか知りたい

    ユーザー/地域/市区町村 でユーザーの大体の活動域が分かります。
    ※地域は居住地が正しく表示されているわけではありません。

  • どのページが人気なのか知りたい

    行動/サイトコンテンツ/すべてのページ でページのアクセスをランキング形式で確認できます。

  • 過去と比較したい

    ユーザー/概要 の画面右上の期間設定で、 □比較 にチェックし比較する期間を指定します。

そのほか、各サイトにあった項目、指標を決めてチェックすると良いでしょう。


解析結果を生かしてアクセスを向上させる

解析結果を丁寧に確認することで、問題点を見つけ、サイトの訪問者数やページ閲覧数の改善につなげることも可能です。比較的短時間で改善できるものに以下があります。

●一人のユーザーにサイト内のたくさんのページを見てもらいたい

サイト内でアクセスが多い人気ページを選び、他のページにアクセスしやすいよう、誘導バナーやリンクを貼る、ページ送り機能をつける、などの工夫が効果的です。

●ページ内容をよく読んで欲しい

サイト内でアクセスが多い人気ページでありながら、平均ページ滞在時間の短い(目安:読了に必要と思われる時間の 1/3 以下)ページがあれば、当該ページで、以下の点をチェックし該当したら改善します。

1) 読みにくさ

漢字が多い、カタカナ語が多い、文字ばかりで画像がない、改段落・改行が少ない、行間が狭いなどの読みにくさの原因を取り除き、「読みやすそうなページだ」と一目で分かる工夫をします。

2) 情報の正しさ

文章中に、伝聞、私的な見解または私的なのに客観のように記載している、引用が多い、出典がないなどは信頼性が低く、途中で読むのを放棄してしまう人が増える原因になり得ますので、推敲をかさね、最後まで読んでみたい、と感じてもらえる誠実な内容にしましょう。

●特定地域の人に読んで欲しい

地域活動では、まち単位、沿線単位といった狭いエリアでユーザーを選ばなくてはいけないケースもあります。ユーザーの地域を参照し、想定している地域からユーザーがアクセスしているか現状を確認します。 この改善は簡単ではありませんが、いくつかの方法を試してみる価値、備えておく必要はあります。

例えば荻窪という町名は杉並区だけでなく群馬県にも存在しています。原稿の中では、「東京都杉並区荻窪」と地域を特定する表記を含んで、より親切なコンテンツにする改善方法があります。

また地域ごとの情報発信力のある Facebook と連携しユーザーをウェブに誘導したり、安価(数百円から可能)な地域特定広告(行政区分単位・特定地より距離指定可能)を出稿したりするのも一つの手段です。


【ご注意】

  • GA で表示される結果には全アクセスユーザーを対象としていない解析結果が表示される場合があります。
  • 項目名、機能は予告なく変更されることがあります。本記事では、2020 年 5 月現在の画面を利用して紹介しています。ご了承ください。

【ヒント1】GA を長期利用して年間の情報発信のコツをつかむ

例えば1 年前の同時期と比べることで、今年はどうするか、人気だったテーマの情報をアップデートする・追加する、または不人気だったテーマには取り組まない・てこ入れする、などのコンテンツプランの検討に役立てられます。

【ヒント2】マスメディア紹介の好機を有効に

全国紙、テレビ、大手ニュースサイトでの紹介はウェブサイトのアクセスに大きな影響をもたらします。あなたの団体がマスメディアに紹介されることが事前に分かっている場合はアクセスに備え、検索でやってくるビジターがサイトを特定しやすいようにメディアでの紹介に該当する記事をトップに移動するなど工夫をしておくと、さらに多くのユーザーが閲覧してくれる可能性が高まります。

【ヒント3】他のサイトにはない特別な情報を持つ

ほかのサイトにはない独自の情報を正しく、分かりやすい文章と画像解説などで掲載していくことは、一見月並みなようですが重要なことです。 誠意あるコンテンツを多数持つ信頼性の高いサイトは、外部サイトからもリンクされやすく、検索されやすくなっていくことが多いようです。ユーザー目線で、掲載内容を吟味していく地道な努力が大切なのです。

(執筆:手塚佳代子)

Google analyticsha は Google 社の製品です。